仮想通貨を売買して利益が出た金額は課税対象になります。
特に株式やFXとは課税方法も異なることからも仮想通貨における税金は必ず知っておく必要があります。

過去に億り人と言われた人が相当な税金が発生したとニュースでやってたからこそ、税金のことは知っておかないとなぁ。。
この記事では、
- 仮想通貨の売買で利益が出た
- 仮想通貨に関する税金のことを知っておきたい
- 利益が出たからこそ節税方法は何かないか
このような方に向けてなるべくシンプルに解説致します。
目次
仮想通貨は雑所得の総合課税
仮想通貨で得た利益は雑所得の分類の中の総合課税になります。
雑所得には、
- 総合課税
- 分離課税
この2択があります。
FXをやったことがある方は、国内の証券会社だと雑所得の分離課税です。(海外は総合課税)
つまりは仮想通貨の税金のかかり方は海外の証券会社を利用したFXと同じです。
雑所得の総合課税とは?
仮想通貨は「雑所得」という分類だとお伝えしました。
その中の総合課税扱いですが、これは他の9つの所得(給与所得、不動産所得、事業所得・・・)で得た収入と最終的に合算するということです。
例えば、
会社員で給与所得:500万円
仮想通貨で雑所得:500万円
だとすると合計の1000万円に対して所得税と住民税がかかります。
なお、分離課税は上記のように他の所得と合算をせずに、その所得単体で税金を計算することです。
例えばFXであれば利益は20.315%と決まっているため、FXの利益にのみ税金がかかり、
他に給与所得があれば、給与所得に対してのみ計算されます。
総合課税の税率とは
総合課税の税率は他の所得(給与所得や事業所得)と合算した課税所得に対して税率が発生し、所得税がかかります。
そして、そのほかに課税所得に対して10%が住民税が発生し、翌年の6月から毎月分割して納めることになります。
「2020年現在の所得税率」
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
- 例えば給与収入から控除などを差し引き、給与所得が400万円
- 仮想通貨の利益から経費を控除した雑所得の所得が300万円
だとすると、合算して所得金額は700万円です。
上記の表に当てはめると、
974,000円が年間で払うべき所得税となります。
しかし、この金額を納めるのではなく、毎月給与であれば所得税が給料から差し引かれています。
住民税に関しては再計算される
今まで給与所得しか収入がない方は年末調整で済むため、確定申告は不要であり、6月から給料(年収)に対して住民税が計算されて給与天引きされます。
しかし、仮想通貨の雑所得があるため、年収が異なります。
仮に上記の例で、
例えば給与収入から控除などを差し引き、給与所得が400万円
仮想通貨の利益から経費を控除した雑所得の所得が300万円
このケースですと、合算した700万円の10%である、70万円が翌年の6月から1年間かけて支払う住民税です。
本来は給与所得の400万円に対する10%である40万円(細かいルールは省いてます)が12分割で給与から天引きされます。
しかし、追加の雑所得の300万円に対する10%である30万円も住民税を支払う必要があります。
追加の住民税の支払い方法は2種類ある
仮想通貨の利益を確定申告して住民税が再計算されます。
雑所得分の追加の住民税に関しては、
- 普通徴収(自分で納付書で払う)
- 特別徴収(会社の給与天引きをする)
この2択から選べます。
これは確定申告をする際に、「普通徴収」か「特別徴収」を○する箇所があります。
もしも会社にバレたくない方は「普通徴収」を選択して、雑所得に関しては自分で納付しましょう。
仮想通貨で利益が出ても確定申告しなくても良い人は
- 給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円以下の人
20万円以下であれば確定申告をする必要がありません。
また、これは「所得」ベースであり、利益から後述する経費を差し引いて20万円以下になる場合は申告不要です。
なお、その場合でも経費にかかった領収書は7年の保存義務があるので、保管しておきましょう。
仮想通貨の利益が20万円以下でも「住民税」の申告は必要
確定申告は所得税の申告のついでに住民税の申告も済ませてくれる制度です。
そして税金の管轄として、
所得税:税務署
住民税:各都道府県、市区町村
それぞれの税金に関して管轄が異なります。
仮想通貨の利益が20万円以下の場合に確定申告をしなくて良いのは、あくまで「税務署が管轄する所得税」であり、手続きを簡素化するためです。
しかし、住民税に関しては居住する市区町村が管轄であり、
そのため、仮想通貨の利益が1円〜20万円未満の場合は、居住する市区町村に申告方法を確認しましょう。
仮想通貨の利益のタイミングは?
例えば、
- 仮想通貨を円に交換した
- 仮想通貨を他のモノと交換した(モノを購入した)
- 仮想通貨を他の仮想通貨に交換した
これらは利益確定となるため気をつけましょう。
仮想通貨を円に交換した
当初1ビットコイン=100万円で手に入れて、1ビットコイン=200万円で日本円にした場合、100万円の利益が発生します。
仮想通貨を他のモノと交換した(モノを購入した)
当初1ビットコイン=100万円で手に入れて、1ビットコイン=200万円のレートの時に、200万円の高級時計を1ビットコインで購入したとした場合、100万円の利益が発生します。
これが例えば、
当初1ビットコイン=100万円で手に入れて、1ビットコイン=200万円のレートの時に、100万円の高級時計を0.5ビットコインで購入した場合、
0.5ビットコインの取得単価は50万円です。
仮想通貨を他の仮想通貨に交換した
当初1ビットコイン=100万円で手に入れて、この1ビットコインで他の仮想通貨(例えばイーサリアム)を200万円相当のイーサリアムと交換した場合、100万円の利益が発生します。
当初の取得が100万円なのに、200万円相当のイーサリアムを手に入れているためです。
マイニング報酬の場合の利益は?
マイニング報酬の場合は、事業所得になる可能性があります。
これはトレードではなく事業の1つとして、マイニング作業を行った報酬だからです。
また、マイニングに関しては、仮想通貨を受け取った時点で利益となるため、注意してください。
なお、事業レベルでなければ「雑所得」として申告します。
仮想通貨で経費に落とせるもの
国税庁の所得税法第37条に規定する直接性に関する一考察では経費で落とせるものは所得税法37条で「所得を得るために生じた費用」とあります。
- 売買手数料、振込手数料
- 取得費(当初の買った価格)
- 通信費(私用にも利用していたら50%程度など)
- 仮想通貨の勉強のための受講料
- 受講料に伴う交通費、宿泊費
- 仮想通貨の勉強のための新聞図書費(雑誌など)
- 事務用品費
- パソコン(他の用途もある場合は全額ではなく50%相当など仮想通貨のための利用分を按分)
- その他
重要なことは「仮想通貨の利益に直結した費用」であることが大切です。
仮想通貨の確定申告で気をつけるべきポイント
- 仮想通貨は損失繰越ができない
- 損益通算ができない
- 基本的には事業所得にできない
- 海外の取引所を利用しても申告が必要
仮想通貨は損失繰越ができない
仮に2019年に500万円の損失をして、2020年に1000万円の利益が出た場合、
この場合でも損失繰越はできず、2020年の所得では1000万円の利益として申告する必要があります。
損益通算ができない
仮に給与所得が400万円、仮想通貨で雑所得がマイナス100万円だったとしても、損益通算はできずに給与所得の400万円に対して課税されます。
基本的には事業所得にできない
事業所得の方が損失の繰越や損益通算も可能になるため、節税対策になってお得ではあります。
しかし事業所得はあくまで事業として得た収入であるため、仮想通貨の投資で事業所得にするには、
「専業トレーダー」もしくは「マイニング」をする必要があります。
毎年利益が出る見込みがある場合は、法人化して法人のビジネスに仮想通貨トレードを入れましょう。
そうすれば法人の事業が仮想通貨トレードということになり、節税の幅が広がります。
(売上1000万円程度の見込みがある場合)
海外の取引所を利用しても申告が必要
海外の仮想通貨取引所を利用しても、確定申告をする必要があります。
また、海外の取引所では年間の取引報告書の作成義務がないのですが、だから申告しなくて良いというわけではありません。
国税庁は「租税条約」というもので海外の税務当局と情報交換をすることが可能です。
節税対策は何があるの?
2020年時点では効果的な節税対策は少ないです。
というのも雑所得は所得の分類の中でも「その他」扱いなため、優遇されていません。
そのため、少しでも節税になることをピックアップします。
・上述した経費計上できるものは全て領収書を保管しておき、漏れなく経費に計上する
・ふるさと納税をフル活用する
・仮想通貨の売上が1000万円程度を超える場合は法人化して、ビジネスとして法人で申告する
・1000万円まで満たないけど、所得の多くが仮想通貨の利益であり、仮想通貨が生計であるならば事業所得として青色申告する
(※少額でも給与所得がある場合などでは、仮想通貨を事業所得にすることは税務署に目を付けられるため、おすすめしません)
・利益確定のタイミングは常に記録して年間単位で調整する
(利益が多そうな場合は他の通貨で損失確定をすることもアリ)
特に年間で大きく儲けてしまうと、最高で所得税45%、住民税で10%の合計55%が税金にかかってしまいます。
そのため、利益を確定するタイミングには気を付けましょう。
仮想通貨の年間の売買が多くて計算ができない
仮想通貨の利益のタイミングは他のモノに変わったら課税対象となるため、頻繁に売買を繰り返すと自分で計算なんて不可能だと思います。
そのため、ツールを使うことをおすすめします。
例えば、
この辺りは無料で利用できるツールであり、取引所の取引履歴のデータをアップすると自動計算してくれます。
利益が大きい方は一度税理士に相談するのも良いかもしれません。
今回は仮想通貨の税金に関して解説しましたが、昔のFXと同様いつかは分離課税になるかもしれません。
現在は税率がとても高いですが、納税義務はあるため、上手に利益確定のタイミングを狙いつつある程度は長期目線での取引も大事かもしれません。
税金の知識を得たら、仮想通貨で資産形成をする方法も学びましょう。

では最後までお読みいただきありがとうございました!
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